ヨガは呼吸をとても大切にしています。
サンスクリット語で呼吸のことをプラーナヤーマと言いますが、今回はそのプラーナヤーマ『宇宙に満ちているプラーナ(気、風、生命エネルギー)を呼吸によってコントロールする方法』についてお話します。
ヨガの呼吸は、体の調子を整えたり、イライラをおさえたりとさまざまな期待がありますが、実際にやってみると「これで本当にあってるかな?」と気になるところ。
自分の体と向き合うヨガのステップとして、ぜひ参考にして見てください。
1.ヨガとは
ヨガとは、サンスクリット語でつなぐ、結ぶといった意味を持つ「ユジ」から派生した言葉です。
さまざまなポーズを行い、経典を勉強し、ヨガを実践していく。そうすることで、バラバラだった心と身体、魂がひとつになることを、ヨガは私たちに教えてくれます。
ヨガを実践する上で、もっとも大切なことのひとつが、呼吸法です。サンスクリット語では、プラーナヤーマといいます。
2.プラーナとは
プラーナヤーマとはプラーナを身体に取り入れる行為のこと。ではプラーナとは一体何なのでしょうか。
プラーナとは、宇宙のあらゆるところに充満しているエネルギーのこと。あらゆる活動の原動力であり、創造し、保護し、破壊するエネルギー。
精力、力、活力、生命、精神はすべてプラーナと考えています。
正しい呼吸法を行うことで、生命エネルギーが身体を巡り、不必要なものは排出され、エネルギーで心と身体が満たされます。
ヨガというと、ポーズを保つことを考えてしまうひともたくさんいますが、何よりも正しい呼吸法を行わなければ、ヨガ本来の恩恵を受けることはできません。
そこで、数ある呼吸法の中でも基本であるサマ・ブリッティ・プラーナヤーマを具体的に紹介します。
3.呼吸法①サマ・ブリッティ・プラーナーヤーマ
まず呼吸は三段階に分けられます。
- 息を吸う(吸気)=宇宙エネルギーを受け取る行為
- 息を止める(止息)=そのエネルギーの活性化
- 息を吐く(呼気)=すべての思考と感情が空になること
それぞれの間隔を意識的に伸ばしていくことが、プラーナヤーマの実践です。
サマとは等しい、同一という意味。
このプラーナヤーマでは、止息、吸気、止息、呼気の長さが等しくなるように練習していきます。
3秒息を吸ったら、3秒止める、3秒息を吐いて、3秒止める、という感じです。
ステップ1:リラックスする
身体をリラックスさせ、たたんだ毛布、クッションなどの上にやわらかく座りましょう。
ステップ2:姿勢を正す
背筋をまっすぐ、床から垂直になるように座ります。足は組んでいても組めなくても構いません。背筋を意識することが重要です。
ステップ3:止息を練習する
まずは吸気後の止息を練習します。3秒吸ったら、3秒止める、3秒吐く。
意識しながら、苦しくならない程度に、数回繰り返します。ここで苦しくなるようであれば、止息の間隔を短くしましょう。
- 吸気1:止息0.5:呼気1
- 吸気1:止息0.75:呼気1
というように、止息の間隔が前後の呼吸と等しくなるように、少しずつ練習していきましょう。
ステップ4:正しいテンポで呼吸をする
ステップ3ができるようになったら、呼気後の止息を加えます。
吸って、止めて、吐いて、止める、というように行います。
「3秒吸って、1,5秒止める、3秒吐いて、1,5秒止める」
このように止息の間隔を調整しながら練習しましょう。等間隔で行えるようになったら、3秒を4秒、5秒とそれぞれの間隔が長くなるよう練習しましょう。
うまく呼吸するポイント
ポイントはやわらかいリズムで行うように心がけることです。
苦しくなったら通常の呼吸に戻し、息が整って、リラックスしてから再度行いましょう。
心が沈んでいるとき、苦しいときは無理に行ってはいけません。
目を閉じて横になり、心と身体がが落ち着いた状態ではじめることが、とても大切です。
4.プラーナヤーマに期待できること
呼吸のコントロールを学ぶことは、感情に支配されがちな心をコントロールを学ぶことです。
交感神経と副交感神経を交互に刺激していくことで、偏りがちな神経のバランスをとるように働きかけることが可能なのです。
私たちは息を吸うことで交感神経を、息を吐くことで副交感神経を刺激しています。
呼吸を観察してみると得られること
呼吸を観察してみましょう。
緊張しているときは呼吸が浅く、短くなっています。驚いたとき、私たちは一息短く、ハッと息を吸い込みますよね。
瞬間的にストレスを感じ、対処できるように交感神経が優位になるように働きかけているのです。
では逆にリラックスしているとき、落ち着いているときは、私たちはゆっくりと呼吸をしています。
ストレスを感じた時、はあ、と長いため息をつくこと、誰にでもありますよね。
それは無意識に自分自身を落ち着かせるために、副交感神経が優位になるよう働きかけているのです。
感情と呼吸の関係
このように身体は意識をしなくても、様々な環境、ストレスへの対処法を知っていますが、私たちの心はなかなか思うようにはなりません。
悲しみ、憎しみ、怒り、喜び・・・。
様々な感情に支配されてしまうことがたくさんありますが、呼吸はこれらの感情を促進させたり制御したりしています。
5.まとめ
ストレス社会で暮らす私たちは、交感神経が優位になりがちです。よく眠れない、休んでもなかなか疲れがとれないことはありませんか。
仕事でミスをしてしまったり、恋人とけんかをしてしまったり、心が沈んで立ち直れないこともありますよね。
プラーナヤーマを実践し、心のコントロールを学ぶことは、忙しい現代を生きる私たちには欠かせないものかもしれません。
起床後や就寝前の少しの時間に、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。