旧約聖書『創世記』によると最初の人間アダムとイブが暮らしていたエデンの園には2本の樹木があったことが記載されています。
禁断のリンゴを実らせた『知恵の樹』と『生命の樹』。今回は、あまり知られていない生命の樹について解説していきいます。
知恵の樹に実ったリンゴを食べてしまうというエピソードは知っているという方はいると思いますが生命の樹についてはあまり知られていません。
1.旧約聖書を理解する基本の5つポイント
まずは、旧約聖書について話さねば生命の樹のことは理解できない。旧約聖書を知るためのポイントとなることを知っておきましょう。
旧約聖書とは
旧約聖書は、キリスト教からの立場の呼び名で、ユダヤ教にとっては聖書。イスラム教にとっては新約聖書。いずれも人により信じている神が違うことにより異なります。
旧約聖書は39の書物がまとまったもので構成されています。
モーセ5書 |
構成|創世記(アダムとイブ)・出エジプト記・レビ記・民数記・申命記 あらすじ|創造から古代イスラエル国家の誕生までが書かれています。 |
歴史書 |
構成|ヨシュア記・裁き人の書・ルツ記 あらすじ|イスラエルが約束の地に入った時とその後の出来事 構成|サムエル記第一と第二・列王記第一と第二・歴代誌第一と第二 あらすじ|エルサレムの滅びまでのイスラエル国家の歴史 構成|エズラ記・ネヘミヤ記・エステル記 あらすじ|ユダヤ人がバビロン捕囚から帰還した後の歴史 |
詩歌 |
構成|ヨブ記・詩編・箴言(しんげん)・伝道の書・ソロモンの歌 あらすじ|知恵の言葉や歌が収められた書 |
預言書 |
構成|イザヤ書・エレミヤ書・哀歌・エゼキエル書・ダニエル書・ホセア書・ヨエル書・アモス書・オバデヤ書・ヨナ書・ミカ書・ナホム書・ハバクク書・ゼパニヤ書・ハガイ書・ゼカリヤ書・マラキ書 あらすじ|神の民に関係した数々の預言 |
小預言書 |
構成|マタイ・マルコ・ルカ・ヨハネ あらすじ|イエスの生涯と宣教の歴史 |
旧約聖書を書いた人|現代も不明
旧約聖書は39巻で構成されていますが、それぞれの作者名は不明のままで特定できないとされています。
旧約聖書は何語で書かれてるのか?
旧約聖書はヘブライ語で記されており、ごくわずかの部分はアラム語で書かれています。新約聖書はギリシア語で書かれています。
アダムとイブは旧約聖書の創世記の記載されて内容です。ではアダムとイブがいた楽園について記載されているものを解説していきましょう。
2.エデンの園の風景とは
エデンの園には、赤や黄色や紫といった色とりどりの花が咲き乱れ、泉のほとりは、小鳥のさえずりで賑わっています。この楽園の風景をかき乱すものは、何一つありませんでした。アダムとイヴが、楽しそうに語らいながら、泉のかたわらを通り過ぎて行きます。
エデンの園の風景
神はエデンの園をつくりそこにアダムを置きました。エデンの園には、多くの果実をつける木がはえていましたが、その中央には『生命の樹』と『知識の樹』がはえていました。
エデンの園にはまた、一つの川が流れていて、そこから四つの川にわかれています。それぞれの川の名はビション・ギホン・チグリス・ユーフラテスと記載があります。
今回はエデンの園の中央にあった生命の樹について解説していきます。
3.知恵の樹に関するエピソード
イブが蛇(悪魔サタン)にそそのかされて食べた、とされているのが知恵の樹の実。その実はリンゴを思わせるようなイメージをされています。
知恵の樹に招き入れた『蛇』は多くの解釈があり、
- 知恵の象徴
- 生命エネルギーの象徴
- 悪魔サタン
だと多くの解釈があります。もともと、エデンの園に住むことに神は二人にこう忠告しています。
神『園にある木ならどれでも食べていいが、園の中央にある「樹の実」だけは絶対に食べてはいけないし、それに触れてもいけない。もし、それを食べたならすぐに死ぬ。』
蛇『それを食べても、決して死ぬようなことはありません。それを食べると、神のように、善悪を知ることができるので神は、そのことを怖れている。神は、他の者たちが自分と同じ知恵を持ってもらいたくないのです。』
イヴ『まあ、とっても美しく美味しいそうな実。この実を食べれば私は賢くなれるんだわ』
イブは禁断の果実を食べてしまい、アダムも一緒に無一文のまま楽園を追放されます。この事態により蛇は『全ての獣(けもの)の内、最も呪われるもの』とされました。
4.生命の樹に関するエピソード
生命の樹も実をつけるのですが食べるには資格が必要とされています。
生命の樹の実を食べることで神と同じ永遠の生命を手に入れることができるとされています。(不老不死)
旧約聖書に記された命の木の内容
新共同訳聖書創世記・口語訳聖書創世記を引用
2章9節 主なる神は、見るからに好ましく、食べるに良いものをもたらすあらゆる木を地に生えいでさせ、また園の中央には、命の木と善悪の知識の木を生えいでさせられた。 |
2章9節 また主なる神は、見て美しく、食べるに良いすべての木を土からはえさせ、更に園の中央に命の木と、善悪を知る木とをはえさせられた。 |
3章22節 主なる神は言われた。「人は我々の一人のように、善悪を知る者となった。今は、手を伸ばして命の木からも取って食べ、永遠に生きる者となるおそれがある。」 |
3章22節 主なる神は言われた、「見よ、人はわれわれのひとりのようになり、善悪を知るものとなった。彼は手を伸べ、命の木からも取って食べ、永久に生きるかも知れない」。 |
3章24節 こうしてアダムを追放し、命の木に至る道を守るために、エデンの園の東にケルビムと、きらめく剣の炎を置かれた。 |
3章24節 神は人を追い出し、エデンの園の東に、ケルビムと、回る炎のつるぎとを置いて、命の木の道を守らせられた。 |
記述を見ると、知恵の実を食べた人間が今度は永遠の命も手に入れてしまうんじゃないかと警戒してるように感じたのですがどうでしょう。 命の木の実は人間が霊的な成長をとげ、神に似た力を得る指針かもしれません。
5.まとめ
宗教観は人によりさまざま、クリスマスやハロウィンをイベント感覚で楽しむこともあるわけです。ただ、どういった宗教がどう秘蹟 を紡いできたのか理解する気持ちは大切です。