鬼門・裏鬼門とは風水で使用される、よくないと言われる方角のこと。
文字からして怖さがありますよね。
鬼門は北東、裏鬼門は鬼門とは逆の南西の方角を指します。
- 鬼門は北東
- 裏鬼門は鬼門とは逆の南西の方角
鬼の門と書くしどことなく『縁起が悪い』イメージを受けますよね。
方角だけではなく「よくない結果が起こりやすい事柄」として使われることも多い鬼門なのですが、そのルーツについて紐解いていきます。
鬼門のルーツは様々な説がありました。
1.鬼門・裏鬼門のルーツ
鬼門・裏鬼門が不吉とされる背景には様々な説があります。
出典:https://zibunlog.com/life/kimon-urakimon/
鬼門とは?中国の昔話
鬼が出入りする山がありました。
その山は都から丁度北東の位置にあった為、その北東の門を鬼門と呼びました。
鬼門とは?移民がやってきた話
北東の方に異民族が住んでいました。
とても気性の荒い民族で、ある時北東の方角から鬼のような形相で中国を攻めてきたことから鬼門と名づけられました。
鬼門とは?陰陽五行説を起源とする陰陽道
元々陰陽道では、『陽』の方角である東と南に対して北と西は『陰』の方角とされています。
中でも北東(鬼門)と南西(裏鬼門)は、その陰と陽の境になる方角にあたりそのことから運勢が不安定になりやすいと考えられているのです。
邪悪な鬼は鬼門から入って裏鬼門へと出ていくとされ、出入りするだけではなく集まる場所ともされていました。
このように鬼門は、古くは陰陽道が伝わった平安時代から人々へ浸透し始めましたが、より多くの人々に広まるようになったのは江戸時代以降になります。
そして現代社会においても、主に家相として鬼門・裏鬼門を気にする人が多いのが実情です。
これらの言い伝えにはっきりとした理由は無いのですが、出来れば難を避け縁起を担ぎたいと思いますよね。
2.鬼門にまつわる不運な話
鬼門にまつわる伝説1~京都御所編
都だった京都。神社仏閣の数もかなりありますよね。
京都御所の築地塀も、鬼門、北東方位が凹ませて作られているのをご存知でしたでしょうか。
京都の鬼門(東北の方角)にあたる比叡山には、王城鎮守の社寺として、日吉大社と延暦寺が建立されています。 その日吉大社のお使いが猿です。
そして京都御所の鬼門である東北角の築地塀(ついじべい)は内側にへこんでいます。 そう、鬼門に当たる部分が角のない造りになっているのです。 その軒下には鬼門よけの木彫りの猿がひっそりと金網越しに佇んでおります。
実はこの木彫りの猿、夜な夜なこの辺りをうろついて通行人に悪戯をする為金網に覆われたのだという伝説があるのです。 またこの場所は『猿ヶ辻』とも呼ばれ、ここで歴史的な事件も起きていました。
それが1863年に起きた「猿ヶ辻の変」です。
1863年猿ヶ辻の変とは
当時尊皇攘夷派の公卿「姉小路公知」がここで惨殺されたのです。 その場には誰もおらず、ただこの猿だけが事の始終を目撃してたとのこと。
その犯人は今でも謎のままなのです。
鬼門にまつわる伝説2~江戸編
東京にある江戸城や皇居は、風水や鬼門等を意識して緻密に計算して作られていたと考えられていることをご存知でしょうか。
そしてこれらを最大限に利用したと言われる歴史上の人物は、かの有名な徳川家康です。
鬼門を意識していたと言われる徳川家康 wiki
そして徳川家康が江戸幕府を開いた時、天台宗の大僧正・天海の大きな影響を受けたと考えられています。
天海僧正は、陰陽五行説にある「四神相応」の考えを元にして、江戸城を中心に四方に結界を張っていきました。
鬼門に敏感だったとわかる徳川家エピソード
徳川家の菩提寺となった寛永寺と増上寺、それに神田神社を結ぶ直線と浅草寺と日枝神社を結ぶ直線が交わる点には、江戸城が位置しています。
そして亡くなった後も自らが関東の守り神として守護できるようにと江戸の真北には日光東照宮を建立しました。
これは平安京の北東に当たる比叡山に鬼門封じとして延暦寺を建てたことを真似て建立されたのかもしれませんね。
例えば鬼門(東北)を守護するのは神田明神、増上寺は南を守護する為の様に建立されていきました。
中でも東京タワーの麓にある増上寺は徳川家と縁が深く、霊的なパワースポットとしても有名な所です。増上寺以外にも小さな神社・寺が沢山ある東京タワー付近
不吉な方角なのか?
実は不吉とされている鬼門の方角を寺や神社で封じ清める為に、この増上寺から鬼門の北東に向けて直線上にはお寺や神社をずらりと並べられているのです。
また江戸の三大祭といえば、湯島の神田神社の神田祭と浅草寺の三社祭と日枝神社の山王祭が挙げられますね。
江戸の三大祭り
- 湯島の神田神社の神田祭
- 浅草寺の三社祭
- 日枝神社の山王祭
実はこれらの祭は、江戸城の鬼門と裏鬼門を祀り浄める意味合いがあったのです。
例えば奥州道へと繋がる大手門に首塚、上州道へと繋がる神田橋門には胴体を祀る神田神社が配置されております。
このように将門公を各門に配置し祀ることで天海僧正は、悪霊が江戸に入り込むことを防ごうとしたとしたのです。
3.鬼門・裏鬼門の正しい使用方法
①鬼門の方角は物置にするのがベスト
家相において鬼門に当たる北東は物置にするのがベストと言われています。
もし部屋にするならば和室が良く、北東の角隅には窓や入り口を作らず壁にします。
仮に窓を作った場合は、開けたままにしないで和室の場合は窓に障子を付けましょう。
②鬼門に相性が良くないのは玄関・水回り
鬼門には玄関・風呂・トイレ・台所等の水を扱う場所と階段を設置すると災いを呼ぶと言われております。 それは裏鬼門(南西)にも同じようなことが言えるでしょう。
特に台所を置くと妻に難が及ぶと言われています。
③鬼門の場所は掃除をすることで悪運を回避できる
鬼門・裏鬼門に悪い気が溜まらないように、こまめに掃除をして清潔にすることが大切です。 そうすることで穢れた気が家の中に流れ込んでくるのを防ぐことが出来ます。
鬼門から入ってくる霊の流れは、家の中に広がっていきます。 だからこそ鬼門のライン上には常に整理整頓し、ものを置かないようにしましょう。
④鬼門の場所に青龍や麒麟の置物をおいて化殺をしよう
邪気や殺気(さっき)を遮断して、その家に住む人に良い気が入ってくるように促す方法です。
風水的に凶作用を抑える効果があると言われているものは、青龍や麒麟の置物です。 これらの鎮める力を利用して、鬼門・裏鬼門に置いていきましょう。 また水晶玉も悪気・邪気を「浄化」する効果があるのでお薦めです。
⑤ 鬼門のが場所にお札を貼る
昔は『方位除災符』とも呼ばれ、陰陽師の安倍晴明が良く利用していたと考えられています。
鬼門・裏鬼門から来る災いを、「鬼門除け御札」で封じていきます。
⑥鬼門の場所に柊(ヒイラギ)を植える
鬼門の場所に「ヒイラギ」を植えることもお薦めです。 何故ならヒイラギのトゲの先から鋭い気が放たれ、魔を退治する作用があるからです。 またナンテンも魔を除ける効果があるのでお薦めです。
4.まとめ
鬼門・裏鬼門は古代中国の考えと日本の古の神道が入り混じって生まれたものです。 縁起担ぎや験担ぎの意味はあるものの、実際の根拠はというと弱いのが実状です。
しかし家相そのものを良くみると、「迷信」と「理にかなう部分」が混在していることも否めません。
それを良く見極め、ある程度由来や意味を理解した上で、鬼門・裏鬼門に拘ってみてはいかがでしょうか。