３年に一度街中が猫だらけになり、仮装した人でいっぱいになる祭りを知っていますか？ベルギーの西部にあるイーペル（Ieper）という街で開催される猫祭り「Kattenstoet」の事です。
猫や魔女などの姿に仮装した人達や６ｍもある巨大な猫の人形のパレードがあります。大人から子供まで約１０００人が練り歩きます。
海外からの観光客もたくさん集まり、猫好きが集まる祭りとして有名です。さてなぜ猫祭りが始まるようになったのでしょうか。
お祭りはとても楽しい内容になっていますが、猫祭りの由来にはとても悲しい歴史があるのです。
次回の猫祭りに行こうと考えている人はもちろん、行ったことのない人にも知っていただきたい由来です。
楽しい祭りの裏にある由来について詳しく説明していきたいと思います。
1.ベルギー｜猫祭りがあるイーペルってどんなところ？
ベルギーは、正式名称をベルギー王国と言い、西ヨーロッパに位置しています。首都ブリュッセルにはEUの主要機関が置かれているため、EUの首都と呼ばれています。
猫祭りがあるイーペルはベルギー西部のフランデレン地域にある都市です。
第一次世界大戦の頃、第一次、第二次、第三次イーペルの戦争により壊滅されてしまいましたが、復興し、平和都市と呼ばれるようになりました。
イーペルは化学兵器が最初に使用された場所のうちの１つであり、日本の広島市は世界で初めて核攻撃を受けた場所として、両市は結束を深め、友好関係を結び、姉妹都市となりました。
2.イーペルの猫歴史
イーペルと猫にはどのような繋がりがあるのでしょうか。
１２世紀から１４世紀後半、良質の羊毛をイギリスから輸入し、編んだ高級毛織物を輸出することで、フランデレン地域は目覚ましい発展をしました。周辺の地域と同じくらいに、イーペルは高級毛織物の一大生産地でした。
そして毛織物がネズミの被害に合うようになり、毛織物をネズミから守るためにたくさんの猫が飼われるようになりました。
しかし春には毛織物を輸出し猫がネズミを退治するようになると、ネズミの数が減りました。結果イーペルには猫が増えることになったのです。
3.ベルギーの闇の歴史魔女狩り
数百年前のヨーロッパでは、魔術を恐れる風潮があり、魔女を探し出して処刑が行われていました。
主にベルギー、ルクセンブルク、オランダで行われていました。魔女狩りは処刑の他に、拷問にかけられたり、尋問されたり、逮捕されたり、罪状をかけられたりと理不尽な仕打ちを受けていました。
魔女狩りによって処刑された人は何十万人とも言われ、恐怖心を抱いた人は何百万人もいると伝えられています。
魔女の疑いをかえられた人のうち７０％は女性になります。しかし男性であっても、権力のある人であっても疑いをかけられる可能性は多いにありました。
当時悪いことはすべて魔女の仕業だと考えられていました。霜が降ったり、果物を台無しにしたり、毛虫の大量発生という自然現象でさえも魔女のせいにされ、ほとんどの疫病や災いなどは魔女の仕業と言われました。
4.生きた猫を…猫祭りの由来が残虐な理由
猫祭りの由来は、ヨーロッパで大流行したペストと魔女狩りが深く関わっています。
１４世紀に入ると、ヨーロッパでペストが大流行し始めます。そこでペストも魔女の仕業と決め付けられてしまい、魔女狩りが行われました。
そして猫は魔女の使い手だと考えられていたのです。猫を飼っていると魔女だと疑われてしまいます。
そこで、自分は魔女ではないと証明するために、生活の上で助けてもらっていた猫を生きたまま衣料会館の鐘楼から下にある広場へと投げ落として殺してみせました。
魔女狩りの他にも由来があります。それはペストを猫が運んできたために投げ落として殺したという説です。猫がペストの病原菌を運んでいると考えられたため、猫が殺されてしまいました。
またネズミも不衛生で病原菌を運んでいると考えられ、結局ネズミを食べる猫が殺されるようになったのです。
もうひとつあり、猫に厄を背負わせたという説があります。ペストの流行がおさまり、魔女狩りが終わっても、猫を衣料会館の鐘楼から下へ投げ落とすことで厄除けをしようという風習がありました。
その後、イーペルでは、年に一度「猫の水曜日」と言って生きた猫を投げ落とす行事が１８１７年まで行われていたことが記録として残っています。
これらの過去があり、このような悲しい歴史を忘れないようにという意味と、犠牲になったたくさんの猫を悼むため、１９３８年からイーペルで猫祭りが始まるようになりました。
お祭りでは、生きた猫ではなく、猫のぬいぐるみを実際に猫が投げ落とされていた場所から落とすようになりました。
悲しい歴史から始まった猫祭りですが、今では猫が好きな人がたくさん集まる楽しいお祭りとなっています。
5.猫祭りは街中が猫一色で盛り上がる！
今現在の猫祭りはいったいどのようなものになっているのでしょうか。猫祭り当日は、イーペルの人々が猫に仮装して、街中が猫一色になります。
顔に猫のペイントをした人、全身猫の衣装を身に着けている人と、どこを見ても猫でいっぱいです。
猫の仮装でパレード
昔、猫を投げ落としたとされる衣料会館の前のメインストリートでは、猫祭りパレードが行われます。
当日の午前１１時頃から音楽が鳴り始め、午後３時頃からパレードが始まります。
猫の着ぐるみを着ているグループやセクシーな猫のフェイスペインティングのグループなど、なんと１５０００人という猫の衣装を身にまとったたくさんの人達が、パレードに参加しています。
パレードには毎回テーマが決められています。魔女の使い手として虐げられた猫と魔女、それから魔女を追い払おうとする村人という街の過去の設定だけは変わらずにあります。
巨大な猫やネズミなどのテーマに沿った山車も登場します。パレードの最後に登場するのは、高さ約６ｍの巨大な山車、巨大猫シープル「猫の王」とミネケ・プス「猫の女王」です。
この瞬間、パレードは今日一番の盛り上がりを見せます。
シープルとミネケ・プスは魔女を追い払い、猫たちを守り、村人たちと和解するイーペルに平和をもたらしてくれる存在だと言われています。これらのパレードは約２時間も続くメインイベントとなります。
猫のぬいぐるみを投げる
パレードが終わり、祭りのクライマックスは、猫投げです。午後６時頃、イーペルのシンボルカラーである赤と白の服を着た道化師が、生きた猫を投げ落としたと言われている衣料会館の鐘楼から黒猫のぬいぐるみを投げ落とします。
このぬいぐるみをキャッチ出来た人は幸運が訪れると言われており、たくさんの人が殺到します。
大きな声がする方へ猫を投げると言われているので、キャッチしようと思っている人が、大きな声を出し、必死に手を伸ばすので大混乱になります。
魔女裁判の寸劇でクライマックス
猫投げが終わり、午後７時頃から魔女裁判が行われます。このイベントが祭りの最後となります。
魔女裁判の寸劇があり、魔女の火炙りがあります。魔女の火炙りは猫投げ同様、魔女のぬいぐるみ、人形になります。
燃え盛る炎の中に、魔女の人形を入れます。燃え上がる炎を囲みながら、猫祭りは終わりとなります。
6.あなたの前世を知りたいとき
魔女狩りもそうですが、前世という概念も不思議なものです。あなたの前世を知りたいときは、今からご紹介する方法で調べることをおすすめします。
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7.まとめ
イーペルの猫祭りは、誰でも参加できるお祭りです。パレードがよく見える観覧席は有料ですが、道端でパレードを見るのは無料です。日本でも人気があり、現地へ赴き参加する人もいます。
楽しいお祭りの背景には、悲しい歴史が隠されていますが、いつまでも忘れないようにというイーペルの人々の思いや、猫を悼む気持ちが詰まっている猫祭り、ぜひ一度参加したいですね。
