あなたは「アンガーマネジメント」という言葉を聞いたことがありますか?
- アンガー|怒り・イライラ
- マネジメント|コントロールする・対処する
暴走しがちな『怒り』の感情を自分でコントロールすることができるのがアンガーマネージメントです。興味深いのは、決して「我慢する」という形ではないところです。
『怒り』というエネルギーは膨大で、人の身体や心に深い影響を及ぼしますよね。
アンガーマネジメントを知ることで、怒りの回避の仕方・そのエネルギーの使い方を知ることができます。
1.スポーツ選手も頼りにするアンガーマネジメント
アンガーマネジメントとは、1970年に米国で生まれた「感情理解教育プログラム」のことで、現在では多くのスポーツ選手が取り入れています。
スポーツのプロはドーパミン・アドレナリンが通常の人より多く分泌されるので『怒』の感情がなかなか抑えられないと言われており日常生活で望まれない機会を生んでしまう火種になりかねないのです。
感情理解教育としてのアンガーマネージメントは、自分の怒りのポイントを理解し、その感情をコントロールして、周りの人たちと上手く付き合ったり、時にはポジティブなほうへ変換させたりする心の教育として使用されます。
この考え方が日本に入ってきたのは、2000年頃から。 「一般社団法人日本アンガーマネジメント協会」が設立されプロスポーツ選手や心理学の面で使用されています。
2.アンガーマネージメントの活躍事例
アンガーマネージメントは、どういった場面で役立っているのでしょうか。実際に活躍できている事例を紹介します。
スポーツ選手への感情コントロール術
どのジャンルのスポーツであれ、『相手との戦い』『自分との戦い』を常に課題とされてくる種目。常に闘争本能をかき立てる訓練を行っているスポーツ選手の生活では、その闘争本能が悩みの種だと言います。
周りがスポーツのプロばかりなら、そういった意識・肉体能力は同じレベルですが、日常生活にはスポーツからかけ離れた人はたくさんいるワケです。そういったときの『戦うことへの意欲』のレベルの差はとてもありますよね。
その切り替えにアンガーマネージメントは大変役に立つと言われています。誤った結果、選手生命にかかってくることもあるのでスポーツ界でのアンガーマネージメントは常識です。
キレやすい人への感情コントロール術
凶悪犯罪の根源は、『怒り』の感情から起こることは少なくありません。
普段の会話の中で起きるちょっとした意見の食い違い。 そんな些細なことから波状してしまう凶悪事件。 このちょっとした「怒り」をコントロールすることができたら、 犯罪件数が減ると考えられています。
アンガーマネジメントというプログラムは『我を忘れるほどの怒り』防止には大いに役立っています。
しかし、一般教育にはまだ浸透しておらず、キレやすい人が手段を探して初めて知ることができるのが現状としてあります。
3.あなたの周りにある怒りの種とは?怒りの種類
どういった状況が怒りの火種になってしまうのか、箇条書きにしてみていきましょう。
- 社内でのセクハラ・パワハラ
- 学校や職場での友達付き合い
- 連絡手段の多様化(SNSやメール・LINEなど)
- 公共施設使用時のマナー違反
- 理不尽な扱いを受けた場合
- 理想の意向とは違ってしまった瞬間
日常に「怒り」はあなたの横に存在していますよね。 切っても切り離せない「怒り」とどう上手く付き合っていけばいいのか、簡単なアンガーマネージメント方法をご紹介していきましょう。
4.『いざ』という時の簡単アンガーマネージメント術
プロスポーツ選手も頼りにしているアンガーマネージメント術を紹介しましょう。
方法①怒りを覚えたら『6秒』数える
「6」という数字が非常に重要な鍵を握っています。 「6」がどう重要なのか? それは、怒りの感情のピークが6秒間であるということ。
それに従い、一般社団法人日本アンガーマネジメント協会は6月6日を「アンガーマネジメントの日」と制定しました。
怒りの感情は「6秒後」には、いったん落ち着くということです。 だから、イラッとしたときに、まずは心の中で6秒のカウントをしたあとに発言や行動を起こしたほうがいいんです。
一呼吸おいてから、何に対して自分が怒っているのか、 客観的な分析してみてください。 そうすることで、その怒りの見方も変わります。
方法②自分の顔を見る
鏡に映った自分を見ることは、客観的な視点で自分を見ることができます。怒りに我を忘れている自分の表情を鏡で見ることで、『自分は一体何をしようとしているんだ』を自分自身でブレーキをかけられることにつながるんです。
方法③自分の怒りのポイントを書き出す
まずは、自分が「どういったタイミング」で、「どのような状況で」怒りを覚えるのか、そのパターンを書き出してみてください。
その中で、親・友達・上司・先生などに対し、毎回怒りを覚えるポイントをピックアップ して見ましょう。そうすることで自分が「直すべきところ」や、「伸ばしてもいいところ」など色々と、 見えてくるはずです。
例えば、自分が良かれと思ってしていることに対して、文句を言われたりしたら、やっぱり 怒りたくなりますよね。 もしかしたら、それは相手が誤解しているだけなのかも知れません。自分が 相手を誤解している可能性もあります。
そういった部分は怒るのではなく話し合いで解決しますよね。
5.暴走が止められない…ワンランク上のアンガーマネージメント術
「犯罪心理学」は、多くの学者の間で研究されています。その中で、最近かなり有効な心理療法といわれているのが 「アンガーマネージメント・認知行動療法」であり、この療法こそ、怒りを静めるマネジメントの原点です。
方法①医師とのカウンセリング
刑罰を犯したものに対し、最初に行われるのがカウンセリング。これは「犯人の生い立ち」と「動機」を探るもので、そこから改善策を見出そうと 試みられたものです。
方法②条件付きで我慢の練習
欲求を起こさせるのと同時に条件もあたえます。
例えば、痛みを与えるというものです。しかしこの方法に関しては、人道的・倫理的に問題がある、まるで「パブロフの犬」だと言った 意見もあり、本当に有効なのか疑問が残るといわれています。
方法③現実逃避をやめさせ社会性を学ぶ
認知行動療法では「現実感覚の欠如」「認知の歪み」として、これらが原因で間違った行動を起こすと考えられています。
この歪みを修正するスキルや、妄想で現実の生活を 脅かさない解消法を見つけるといったプログラムが組まれます。
方法④カチンときてしまったことを書き出す
1日の終わりに日記のようにその日カチンときた事(仕事中でも、通勤通学中でも)を 箇条書きでよいので、すべてノートに書き出してみましょう。
事例1:通勤中に足をけられた時にカチンときてしまった
このときあなたの感情はもしかしたら「謝ってよ!」と怒っていたかも知れません。でも、まずはその状況を客観的に捉えてみましょう。
- 満員電車内だった
- 座っていて、ちょっと足がはみ出ていたかもしれない
- 相手には蹴る気はなかった
こんな風に考え方の変換ができれば、以後同じようなことが起きても、割と怒るポイントは 抑えられると思いませんか?
事例2:メッセージの返信がなくてイライラする
こんなときの怒りポイントは、「なぜすぐに返信しないんだっ!」とか「既読になっているのに無視された!」という方がほとんどですよね。ではこれを別の視点から見て見ましょう。
- 相手が授業中もしくは就業中かも
- 具合が悪く寝込んでいるのかも
- 取り込み中(料理中だったり、掃除中だったり、別の友達と話し中だったり)
- 返信の内容が確認できない(予定がすぐに分からない)
- 後で電話をしようと考えている(返信を書くより、話したい内容)
感情に流されるのではなく、実際に起きているであろうことを考えれば、結構冷静になれますよね。それでも気になった方は、相手が絶対空いているであろう時間に 直接連絡を取るのもいいかもしれません。
6.まとめ
日常に起こる怒りとの付き合い方。 怒ることに我慢はいらないけれど、感情だけで動くとそれらはすべて自分に跳ね返ってきてしまいます。
突発的に怒りを覚えたら、まずはポケットにある携帯電話などで、自分の顔をチェックしてみて下さい。そして、「怒りの6秒間」を深呼吸でやり過ごしてから発言や行動をとることをおすすめします。