《生きるヒント》僧侶がお薦めする身に沁みる禅の言葉5選

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禅の言葉=禅語とは禅宗という宗教の文献に出てくる言葉です。

禅宗は元はインドから中国、日本へと長い年月をかけて伝わったもので、多くの禅師たちの手によって書き記された、生きるためのヒントや考え方が凝縮されています。

この言葉を見ると、昔も今も人の悩みの本質は変わらないのだと気づかされます。

今回は沢山ある禅の言葉の中から、現代の生活に密接した5つを日常生活に絡めて紹介します。

1.一期一会(いちごいちえ)

座右の銘に『一期一会』としている人も少なくない知られている言葉です。

禅語の意味

人との出会いは一生に一度。なのでその時、その人を大切にしましょう、という事です。

茶道のお茶会からの言葉。主人は同じ人でも、客人は日々代わります。

なので主人は一度限りかもしれない客人に心をこめてもてなしをするというのが由来。

毎日同じ時間、同じ相手、同じような作業が続くと「明日も明後日も昨日と同じ」につい過ごしていることになんの違和感も抱かないもの。

今、隣にいる人は他人ですが声をかければ知り合いに変わります。

今の環境を、当たり前と思える日々の生活は貴重な瞬間なのだと自覚して大切に、という言葉です。

2.主人公(しゅじんこう)

禅語での『主人公』は、人間は態度が大事だということに気づける言葉で、自分の行動に自分で恥を感じた経験があるかたならこの禅語の意味を理解することができます

禅語の意味

いわゆる主役的な主人公、ではなく「本来の自分自身」。

中国の禅師は、自分に「主人公」と声をかけ、自ら「はい」と答えたそうです。

一見すると滑稽な様子ですが、これは自分自身を見失わない為の一種の暗示です。

与えられた環境に責任など持てない。と自分がどんな行動をしているか意味を考えない。

人のふんどしで勝負をしていないだろうか?

生きていく上で人のふんどしを借りることもあったかもしれないがこの言葉の意味を知ったなら、そこから学ぶべき本当のを気づけるチャンスです。

日々の生活の中で、自分自身を保つというのは、とても難しいことです。

強く意見を言えば他の人と衝突するかもしれない。

問題が起こるかもしれない。無難に、個性を消して周囲に埋没すれば必要以上に傷つかない。そんな風に自分自身を隠して生活している人は多いのではないでしょうか。

または流行り物に目を奪われ、勢いで飛びついて正気に戻ると「何故こんなものに」と自分に嫌気がさしたりしませんか。自分の主人は常に自分であることをあたらめさせられる禅語です。

3.不思善不思悪(ふしぜんふしあく)

不思善不思悪(ふしぜんふしあく)とは人の数だけ正義が有るという意味の禅語で、

『善と悪・白と黒』

そんな極端に物事を判断しては自分のすべきことを見失ってしまうよ、と教えられる言葉です。

禅語の意味

白黒物事をはっきりさせたい人は多いと思います。

ですが人の暮らしはそんな白黒だけで決められるものではありません。物事は立ち位置が違えば善にも悪にもなる、曖昧なものだらけです。それを自分の思い込みだけで決めつけ、行動することの愚かさを説いています。

とある弟子が師匠から継承の証を受け取ります。

しかしそれを良しとしない他の弟子がそれを返してくれとお願いします。

すると「これは力で奪えるものではないよ」と石の上に証を置きました。取り返しに来た弟子がどんなに頑張ってもその証は動きません。

「善を思い、悪と思うことをやめなさい。あなたの本来の姿は何ですか」

取り返しに来た弟子は、証が力ずくで奪えるものではないと気づくのです。取り返しに来た弟子は自分を善と信じ、相手を悪と思い行動しました。しかし相手は悪ではありませんでした。

(証が動かなかったことが、相手を正式な継承者と認めていることになります)では取り返しに来た弟子が悪でしょうか?そうではありません。

物事を善悪だけで考えるのはやめなさい、と継承した弟子は言います。

白である、黒である。

善である、悪である。

そんな両極端の考え方をやめた時、あなたの本来の姿が見えるのです。

4.無功徳(むくどく)

この言葉が意味することは、見返りを期待して良い行いをしたとて、それは本当の良い行いとはならない本当の功徳とは見返りを期待したりしない純粋な善意から得られるものという意味の禅語です。

「○○してあげたんだからさ」

「それをしたらなにしてくれるの?」

と言ってお礼を強要する人は報酬が先に来ているので本来の「良い行い」の意味とは違うものなのです。

禅語の意味

昔々、修行を積まれた高名な大師がおりました。とある国の帝王がその大師にこう質問しました。

「私は多くの僧侶を供養し、たくさんの寺院を建立した。私にはどのような功徳があるかな?」

大師は答えました。

「無功徳」

自らの行いをわざわざ大師に問うた帝王は、大師にはっきり言い切られてしまうほど打算的な行いに見えてしまったのでしょう。

自分の行いを誰かに褒めてほしい、何か言ってほしいと思う時は誰にでもあると思います。

それをあえて強調したり、誰かにそれとなく(他人からはバレバレですが)問うたりするのは、かなり気を付けなければなりません。

5.盤山精肉(ばんざんせいにく)

雨が降れば憂鬱になる人がいるけれど、雨が降ることで農作物は育ちます。

大勢で賑やかにすることが好きな人がいれば、一人でいることが好きな人もいます。

好きな事も嫌いな事、楽しい事も嬉しい事も人の数だけ多種多様なのだ、という意味です。

禅語の意味

この言葉の盤山というのは山の名前ではなく、ある僧の名前です。盤山はお肉屋さんの前での客と店の者の会話を耳にしました。

「おやじ、良い肉をおくれ」

「何言ってんだよ、悪い肉なんてないわい」

この時盤山は気づきます。

「物事の善し悪しは、結局はその人の心で決まるのか!」

上記のお話、お肉屋さんは自分の商品に自信があるのでしょう。

悪い肉などないと言います。ですがきっと、お客にしてみたら全てが良い肉というのも信じ切れないでしょう。

それを見る人の感情や考えがプラスされることで良くも悪くもなります。現状を楽しめるか否かは、結局はあなたの考え方次第です。

6.まとめ

お寺はお葬式や初詣でくらいしか縁のない人もいるでしょう。

ですがそこに伝えられている禅の言葉には、現代のあなたの生活にも通用するものが多くあります。悩んでいる時や困っている時、ちょっとのぞいてみてはいかがでしょうか。

きっとあなたの思いを反映した禅の言葉があるはずです。

それを見つけた時、背中を押してもらったような不思議な気持ちになります。

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