2016年のお盆は、8月13日から8月16日。世の中的には連休になりますが、元よりお盆とは親戚が集まって、お墓参りに出かけるのが風習です。
昨今、お盆の風習の一環である『精霊馬(しょうりょううま)・迎え火』を見ることも、少なくなってきましたが、『お盆に里帰りする』こと自体が希少になってきています。
精霊馬(しょうりょううま)とは、夏野菜のキュウリやナスに、割り箸を4本刺し、馬・牛に見立てたもののことです。
『お盆の時に、おじいちゃんやおばあちゃんと一緒に作ったことがある!』という方もいらっしゃるでしょうが、核家族化が増えている昨今『見たことも、存在さえ知らない』という人もいますよね。
精霊馬(しょうりょううま)の目的は、ご先祖様が再び家に帰ってくるいわれに沿ったもので、精霊馬に乗って先祖の霊がやってくるとの習わしです。
今回は、精霊馬にスポットを当て、お盆の由来から、意味までを解説していきます。
意味を知る事で、お墓参りに行く機会を逃すことなくお盆の風習を過ごすことができます。
1.お盆とは|日本の祖先の霊を祀る行事
お盆(おぼん)とは、夏に行われる日本の祖先の霊を祀る一連の行事のことで、日本古来の祖霊信仰と仏教が融合した日本独自の行事です。
お盆の明確な起源は分かっていないのですが、お盆の時期は地域によって様々ですが、一般的には7月13日から4日間、または月遅れで8月13日から4日間というところが多く、今年2016年のお盆は、8月13日から8月16日です。
『盆』の意味
お盆の「盆」は言葉通りの意味で、霊にお供え物をおく容器を指しています。お供え物をするぐらいの霊は「精霊」と呼ばれ格があがります。地域によっては「精霊」を「ボンサマ」と呼ぶ場合もあります。
また「盆と正月が一緒に来たよ」という”とても忙しいこと”または”喜ばしいことが重なること”のたとえでも使われることもあります。
『新盆』の意味
新盆(にいぼん)とは初盆(はつぼん)ともいい、故人が亡くなり、四十九日を過ぎてから初めて迎えるお盆を指します。故人を偲ぶ意味も込めてよりいっそう大切な行事といえるでしょう。 一般に新盆(初盆)は、特に念入りに供養を行うのが習わしです。
『旧盆』の意味
旧盆とは旧暦7月15日のお盆のことで、旧暦盆ともいいます。現在カレンダーでいわれているお盆は、新暦8月15日ですが、これは月遅れ盆や8月盆というものです。沖縄では現在も旧盆でお盆を迎えると言われています。
2.お盆の大切なポイントは『お迎えする心』
日本は古来から、「魂」を大切にする風習があり、お盆は、死者に対する礼節を欠くことなく、故人のためのお供えにも、きちんとした由来や意味が込められています。
亡くなった方のために、毎日お仏壇では線香をあげ、お水と御飯を供えて、手を合わせる……という光景は日本では珍しくないですよね。
昔から受け継がれるこの行事を、お供え物にはどんな意味があって、どんな気持ちが込められているのかが伝わってくると思います。
ご先祖様を敬い、愛し、感謝する。お盆の行事は、私達のその心の表れ、私達の心そのものなのです。
『お墓参りなんて行く暇がない』と心苦しく思うことはありません。故人の好きな花1本、好きな果物1つ、それを故人の写真の前に供えて手を合わせる、それだけでも十分です。
行事ももちろん大切ですが、そこに心が込められていなければなんの意味もありません。一番大切なのは、お迎えする心、おもてなしする心、感謝する心だということを覚えておいてくださいね。
3.精霊馬の由来とは
精霊馬とは、キュウリ・ナスに4本の棒を刺して馬や牛のようにした、お供え物です。
きゅうりは足の速い馬に見立てられ、あの世から早く家に戻ってくるように、また、ナスは歩みの遅い牛に見立てられ、この世からあの世に帰るのが少しでも遅くなるように、とさらには、供物を牛に乗せてあの世へ持ち帰ってもらうとの願いがそれぞれ込められています。
キュウリの馬|早く戻ってきますように、という願いを込めて足の速い馬にキュウリを見たてています。
ナスの牛|現世からあちらへ帰るのが少しでも遅くなるようにとナスを牛にみたてています。
キュウリやナスを使った理由は旬であることと、昔から庶民の家庭にどこにでもあったことからといわれ、キュウリは細長いですから馬、ナスはどっしりした形が牛に見立てられるのにちょうど良かったのです。昔の人のご先祖様への敬愛を感じる発想が気遣い上手な日本人らしい発想です。
4.精霊馬の作り方〜お供え方法
精霊馬の作り方・お供え方法を解説していきます。
準備するもの
- キュウリ 1本
- ナス 1本
- わりばし 2組 (爪楊枝・マッチ棒でも◎)
- 盆棚(なくてもOK)
作り方
- わりばしを適当な長さに切ります。
- 爪楊枝マッチ棒で台外する場合も長さの調節は必要です。
- キュウリとナスそれぞれへた部分を頭とします。
- 前方2本ずつ、後方にも2本ずつと倒れないように刺します。
まずは、これで精霊馬ができあがります。出来上がった精霊馬は、盆棚へ。
盆棚とは
3段の台を用意します。台の4つの隅には笹を立てかけ、縄を張り、そこからはほおずきを吊るしていきます。これは結界と言う意味もあり、ほおずきはご先祖様をご案内するための提灯の代わりとされています。
そして、台の上には敷物を敷いて、中央に位牌を置き、線香を焚き、季節の花、お菓子や果物などをお供えしてお迎えするのです。故人の好きだった食べ物なども、おそなえします。
盆棚の用意がないお家は多いと思うのでそういった場合は、仏壇の前にテーブルを置いて代用します。さらに仏壇もないという方は、ご先祖様にゆかりのある場所でも良いとおもいます。(写真・よく座っていたばしょ・位牌)
供え方
- お供え物のお花や果物などと一緒に位牌の前へと備えます。
- 向きは頭側を仏壇側へ向けます。
- お送りする16日には反対向きにします。
- 16日のうちに精霊馬は処分します。
- 白い紙に塩と一緒に包んで、ゴミとして処理して大丈夫です。
地域によって違いますが、大体のところでは13日の迎え盆にお供えしてご先祖様をお迎えし、16日の送り盆にまたご先祖様を送り出すようです。精霊馬も16日に処分されます。昔は海や川へ流していたようですが、最近は白い紙に塩と一緒に包んで、ゴミとして処分するご家庭が多いようです。塩はお清めの意味がありますので、必ずちゃんと一緒に包んでくださいね。
お盆時の代表的なお供え物
精霊馬の他にお供えする代表的なものを紹介します。
- 線香
- ろうそく
- お水
- お花
- 季節の果物
- ご先祖様が好きなもの
線香やろうそくは、普段から仏壇で使っているもので構いません。花や食べ物は、故人の好きだったものをお供えするご家庭もあれば、縁起を考えて、花はトゲやつるの長いものは避けたり、食べ物も旬のものを里のもの、山のもの、海のものと分けてお供えするご家庭もあります。
- 里のものは、「御飯・お餅・お菓子」
- 山のものは、「旬の果物」
- 海のものは、「昆布や焼き海苔など、生ものは基本的に無し」
このように分けられます。是非参考にしてください。
5.まとめ
お盆と言う行事1つにも、先祖代々からの願いが込められているんですね。私達も、その受け継がれてきた「心」を大切にして、是非お盆にはご先祖様をお迎えして、心からおもてなししましょう!大事なのは、故人へ対する心、そして未来へ受け継いでいきますという決意を込めた祈りの心。それさえ忘れなければ、きっと今まで何気なく過ごしてきたお盆行事にも、関心を向け、知ることが出来、そして昔の人々が大切にしてきた心を、少しでも理解することが出来ると思います。