幼い頃に『お墓参りに行こうね。』と言われたその日は『お彼岸』のはずです。
お彼岸の日に何となくお参りをすることは分かっていても、意味については曖昧な人は少なくありません。
このページではお彼岸のマナー・基本常識について解説していきます。お彼岸の日の過ごし方を理解することで伝統や伝承を重んじることができますよ。
1.2017年のお彼岸の時期
お彼岸の意味を知ると、この時節にお参りすることの大切さに気づかされますよね。今年からお彼岸を意識してみようかな?と考えているあなたのために、2016年のお彼岸の時期を記しておきます。
【2017年春のお彼岸スケジュール】
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彼岸入り3月17日(金)
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中日春分の日3月20日(月)
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彼岸明け3月23日(木)
【2017年秋のお彼岸スケジュール】
- 彼岸入り9月20日(水)
- 中日秋分の日9月23日(土)
- 彼岸明け9月26日(火)
毎年、春分の日は3月21日頃、秋分の日は9月23日頃に「国民の祝日」としてカレンダーに記載されています。その年によって前後しますから、その都度、スケジュールをチェックしておきましょう。
また、日本国の祝日法では「春分の日=自然をたたえ、生物をいつくしむ日」「秋分の日=先祖をうやまい、亡くなった人をしのぶ日」とされています。
昔から日本人は「お彼岸」にあたる春分・秋分の日を、心を磨く日として大切にしてきた事が分かりますよね。
2.お彼岸とは
「お彼岸って何の日?」「そもそもお彼岸に何かをした覚えがない..」
ここでは、お彼岸に全くなじみのない方や、何となくやり過ごしてきた人のために「お彼岸」の初歩から、具体的な意味、お彼岸が尊ばれる理由まで解説します。
お彼岸は日本独特の仏事
「お彼岸」は、ご先祖さまや自然に感謝を表す日本独特の仏事。他の国にはない習慣です。
お彼岸の日には寺の法要やお墓参りに出向き、故人を偲び、感謝を示すのが習わしになっています。仏壇におはぎやぼたもちをお供えするのも、ご先祖さまへの感謝と私たちの繁栄を祈るためなのです。
お彼岸の具体的な時期
毎年、春と秋の2回あり前後3日間、それぞれ計7日間が「お彼岸」にあたります。
- 3月の春分の日|ぼたもちをお供えする
- 9月の秋分の日を中日(ちゅうじつ)|おはぎをお供えする
通説では春のお彼岸には春の花である牡丹を模した「牡丹餅(ぼたもち)」、秋のお彼岸には秋の花である萩を模した「御萩(おはぎ)」をお供えする様ですね。
3.『彼岸』という言葉の意味は『迷いのない悟りの世界』
「お彼岸」という言葉には、どんな意味があるのでしょうか。言葉の意味について簡単に解説します。
- 「彼岸」とは仏教の考え方で、”迷いのない悟りの世界”を意味します。
- 「彼岸」と対語になるのが「此岸(しがん)」です。
これは、『迷いや煩悩に満ちた世界』つまりこの世のことを指します。
毎年春秋2回のお彼岸の時節は、「此岸」にいる人間が、悟りの世界「彼岸」と通じる「到彼岸」が叶う時期の事を言っているのです。
お彼岸の期間は7日間とされていて、その間にお墓参りにいきましょう。
- お彼岸の初日…彼岸入り
- 春分の日・秋分の日…中日(ちゅうじつ)
- お彼岸の最終日…彼岸明け
4.お彼岸にお墓参りをする理由は『感謝する日』
夏のお盆にお墓参りをするのは、『ご先祖さまの霊が帰ってくるから』ですよね。では、お彼岸にお墓参りをする具体的な理由に迫ってみたいと思います。
お彼岸は「此岸(しがん)」の人間が「彼岸」に通ずる日。
お彼岸は、真西に沈む太陽に西方極楽浄土「彼岸」を想い、そこにいるご先祖さまに感謝を捧げる日です。お墓参りをするのは、感謝の念を示すためでもあり、あちらにいるご先祖さまとのご縁を深めるためでもあるのです。
5.お彼岸の正しい過ごし方
お彼岸は春秋それぞれ7日間ありますが、お盆の様に飾りつけをするわけでもなければ、特に家にお坊さんに来てもらう必要もないため、過ごし方が曖昧になりがちです。
お寺の法要に参加したくてもスケジュールが合わない人は、お彼岸をスルーしてしまうものですよね。ここでは、正しいお彼岸の過ごし方を紹介します。
お墓参りをする|お参りのマナー
お彼岸では、中日がもっとも『ご先祖さまに感謝する日』とされており、一般的には中日前後にお墓参りをすることになっています。
お墓はご先祖さまが眠る大切な場所ですから、是非家族揃って出かけたいものです。
- 御花とお線香を持参する
- お墓に着いたらまず墓石を洗う
- 雑草を抜くなどしてお墓掃除を入念に行う
- おはぎやぼたもち・季節の果物を供える(場所によっては禁止されています)
- ご先祖さまに手を合わせ、日頃の出来事などをゆっくりお話する
お墓が遠くてなかなか伺えないという方は、仏壇にお参りをしましょう。仏壇や仏具を掃除しお供えものもお忘れなく。手を合わせた後はお願いごとをするのではなく、報告をしましょう。
6.お彼岸の中日(ちゅうじつ)以外の6つの心得
お彼岸の中日には”ご先祖さまに感謝する日”という意味がありますが、もちろん他の6日間にも意味があります。お彼岸は、「此岸」の人間が「彼岸」という悟りの境地と通ずる日。
中日の前後6日間は、次に挙げる「生きていく上で正しい行いができる様になるための6つの行い」を、1日1つずつ実践していくことで、悟りの境地に近づくことができる重要な期間なのです。
【6つの正しい行い】
- 分け与えること
- 規律を守ること
- 怒りを捨てること
- 努力をすること
- 心を安定させること
- 智慧をあらわすこと
これら「6つの行い」は特別にどこかへ出かけて行う必要はなく、「お彼岸」という特別な時期に、普段の生活の中へ取り入れることに意味があります。
それはご先祖さまの子孫として生まれたことに対する感謝での形でもありますし、あなた自身の幸せにもつながるのです。
7.まとめ
お彼岸について全く知らなかったという人も、理解するのにはそれほど時間がかからなかったのではないでしょうか。
お彼岸は自然の摂理と、日本人特有のご先祖さまを敬う心が共鳴する素晴らしい仏事です。若い世代の間では薄れがちですが、こうやって調べてくださる方々によって後世に受け継がれていくことを願います。