死んだらどうなるのか?
子どもの頃は何かいけないと思うことをした瞬間に、閻魔大王に地獄に落とされる、もしくは閻魔大王に舌を抜かれると思ったことがある人はきっといると思います。
大人になると閻魔大王を日常で意識することは少ないと思いますが、お寺へ参拝した際に、掛け軸に描かれている地獄絵図などを見ると、閻魔大王を思いだしますね。
子ども心に怖かった存在の閻魔大王。
もの心がついた時にはすでに知っていた閻魔大王という存在はすごいですよね。
閻魔大王とはいったいどんな人物なのか、また閻魔大王はどんな役割を担い、どんな仕事をしているのでしょうか。ここでは、そんな閻魔大王について、くわしくみていきたいと思います。
1.閻魔大王(えんま様)とは
閻魔大王の役割は冥界の主
「閻魔大王に舌を抜かれるよ」、「閻魔大王に地獄へ落とされるよ」そのような言葉を子どもの頃に聞いて育ったためか、閻魔大王は怖くて地獄への采配をふるう人という認識をされることが多いかもしれません。
そもそも閻魔大王は仏教、ヒンドゥー教などでの地獄、冥界の主とされています。
冥界の王として死者の生前の罪を裁く神ともいわれ、日本の仏教においては地蔵菩薩の化身とみなされ同一視されている存在です。
悪魔のイメージの強い閻魔大王ですが、本当は神の一種といえるようです。
地獄か極楽のどちらへふさわしいかの裁判官が仕事
閻魔大王は、死者の魂が地獄に行くか極楽に行くかを生前の行いにもとづいて、裁判にかけることを仕事としています。
閻魔大王の前に連れてこられた死者の魂が、傍らの鏡に映し出されます。
その内容により、どの地獄へいくべきかを決定するのが閻魔大王です。
良い行いの数、悪い行いの数、その他にも生涯いくつの命を奪ったかなどのわかりやすいことや、周りに優しい気遣いができたかなどの心遣いのことなども含まれます。
「ありがとう」という感謝の心があったか、という心の内についても閻魔大王はみています。
それから、人間は死ぬと、お借りしていた肉体を地球にお返しして魂となります。その肉体もどれだけ大切に使っていたかも閻魔大王にみられます。
たとえ病気の消え入る様な肉体であったとしても、最後の最後まで最善の心遣いをしていかたかどうかを閻魔大王はみます。
閻魔大王は、死者が霊的生活の中でみた人生の振り返りと同じものを見ています。
死者は霊的生活の中で、生前の振り返りを行っていますから、閻魔大王の裁判は素直に聞き入れて指示に従うことになります。
閻魔大王との裁判へたどり着くまでに、死後どのような足取りになるのか次項で順を追ってまとめてみました。
2.死んだ後の出来事
はじめに|心臓が止まり死が訪れます
呼吸が停止し心臓の鼓動が止まって、人は死を迎えます。
死んだら体の中に入っている魂(霊)が抜けだして、死後の世界へと行きます。魂(霊)は四十九日まではこの世をさまよい続けてもよいことになっています。
その間は、自分のお葬式の様子を見たり、友人知人の様子を見にいったり、財産分けでけんかなどをしていないか、などと気になることや気になる場所を見て回ったりします。
死んですぐに自分が死んだことを認識する魂もいれば、死んだことを認識できないままこの世をさまよう魂もいます。
①魂のまま21日が経つと守護霊が来てこの世を去る
そして、二十一日くらいすると、そろそろこの世を去るタイミングとなります。「そろそろ行きましょう」と守護霊にうながされ、あの世へと向かいます。
先へと進むと川に辿りつきます。
②三途の川へ到着
この川が「三途の川」と言われるこの世とあの世を分けるさかいです。
ここは霊界の入り口にあたる場所です。三途の川の向こうでは、たいていの場合美しい花が咲き乱れています。
川を渡ると、昔の身内や友人など、いろいろな人が迎えに来ます。そしてその川を渡ると本格的な死者となります。
花が咲き美しい様子が天国のようで、最初は「天国に来た」と錯覚をしますが、まだそこは天国・地獄をふるい分ける前の世界です。そしてそこで少しの間、霊的生活をします。
2.霊的生活のはじまり
天国や地獄といったはっきり決まった場所へ行く前にする生活のことを霊的生活といいます。
そこでは、生前の振り返りをします。生まれてから死ぬまでの一生をドラマのように見さられますが、とても短時間で一生を振り返ります。
そして、その映像には、生前の自分自身の姿が映っているわけですが、自分自身で視た映像ではないアングルになっています。
このアングルは何かというと、他者から見た人生になっています。これは、たいていの人にとって、とても嫌なものです。恥ずかしいシーンや隠したいシーンが多くあります。
他には隠れて行ったことや他の人には絶対に見られたくないシーンも沢山あります。そして、ほめられたいシーンは出てきません。
逆に、良く思われたいと思い画策しているシーンなどがでてきます。
たっぷりと、自分は生前どういう人間であったかを客観的に自分で把握できてしまうのが霊的生活での内容です。そしてそこでの生活を終えると、閻魔大王の前に向かうことになります。
4.まとめ
閻魔大王の仕事は、死者の行く先を決める裁判官でしたね。
ですが、閻魔大王の裁判の前に、霊的生活を行い、自分自身で生前を振り返ることにより、この先の行く先がどのようなところが一番良いか、合っているのかを死者は自分自身で分かっていました。
そして、最後のとどめが閻魔大王の裁判結果、と言えるでしょう。
ですから、生きているうちに自分の良心に対して納得できる行為と努力をすることが必要です。
霊的生活で見せられた自分の姿というのは、自分の心に嘘をつくことなく、すべてを公平に見ていました。自分の死後に今までを誤魔化すことはできませんでしたよね。
ですから、裁判官である閻魔大王は、死後の世界に居るのでは無く、今のあなたの心の中にいると考えられます。自分を裁くのは、自分の良心なのですね。
自分の良心を、自分で納得させる生き方をしていれば、間違いないといえるでしょう。