世界中にはどれくらいの悪魔がいるのでしょうか。それはきっと数えきれないほどです。
また宗教によっても捉え方に変化がありますが、みなさんは何体くらい悪魔を知っているでしょうか。悪魔にも良い面があったり、悪い面があったり、役割があったりと存在しているからには、それなりの理由があります。
今回は、ヨーロッパを中心とした悪魔の存在について解説していきましょう。なぜならヨーロッパ各所では悪魔崇拝がブームになった時代があり悪魔との関係記述が多くあるからです。
光のその後ろには必ず影ができます。好意的で魅力的な悪魔に出くわした時油断しないよう注意することができますよ。
1.悪魔とは善の影の役割を果たす存在
悪魔とは、それぞれの地域や民族、宗教に根差した悪の存在や悪を象徴する言葉です。仏教では、仏道を邪魔する存在、煩悩のことでもあると言われています。
キリスト教ではサタンと言われ、神を中傷し、人間を誘惑する存在といわれています。サタン以外の悪霊も一般的に悪魔と呼ばれています。
悪魔と対峙出来るのは神や天使、悪魔の概念を持つ宗教の頂点付近にいる人だけといわれています。悪魔は私達の住む世界とは別の世界に住み、魔女や吸血鬼等とは区別される存在です。
2.ヨーロッパ全土に伝わる主な6人の悪魔たち
ヨーロッパにはいろいろな宗教があります。そんな地域に言い伝えのある悪魔たちを紹介します。
①神の大敵者サタン
ヨーロッパ全般のキリスト教、ユダヤ教、イスラム教の悪魔で、七つの大罪の憤怒を司っています。
すべての魔神や悪魔のトップとも表現されており、聖書によく登場しており、ユダヤ教、キリスト教では神の敵対者、イスラム教では人間の敵対者だといわれています。
サタンはもともと神の御使いでしたが、自分の力をおごり、自分の配下を引き連れ堕落したことで悪魔となり、長となった悪魔の概念です。サタンは神や天使との戦いに負けて地獄へ落とされました。地獄で永遠に焼かれ続けているとも、溶けない氷の中に閉じ込められているともいわれています。
しかしサタンは、霊体だけで活動出来ると考えられており、地獄を離れて人間を誘惑するために地上へやってくるといわれています。
②七つの大罪の食欲を担うベルゼブブ(ベルゼバブ)
ヨーロッパ全般のキリスト教、ユダヤ教の悪魔です。ベルゼブブやベルゼバブなど様々な呼び方があります。七つの大罪の食欲を司っています。
ハエの羽音が名前の由来になっており、ヘブライ語で「ハエの王」という意味になります。サタンの次に権力を持っている悪魔であり、地獄において皇帝と評されています。
疫病をまき散らす元凶だといわれていますが、ハエの害から人間を救う力も持っています。ベルゼブブを怒らせると炎を吐き、大声で吼えるといわれています。
③たくさんの魔神を従えるアスモデウス
ヨーロッパ全般のキリスト教、ユダヤ教の悪魔です。七つの大罪の色欲を司っています。悪魔の頭、剣の王と呼ばれ、配下にたくさんの魔神を従えています。
牛、羊、人の頭にガチョウの足でドラゴンの翼と首を持つライオンに乗っているといわれています。
夫婦中に不和を生じさせたり、嫉妬心を抱かせたりします。未来を通して人の定めを知ったり、宝石や貴金属のありかを知ることが出来たりする能力があるため、姿を見ても恐れずに敬意を払って接すれば、宝石や肉などをプレゼントしてもらえます。また文学の秘術も教えてくれます。
④3つの頭をもつバール(バアル)
ヨーロッパ全域のキリスト教、ユダヤ教の悪魔です。ソロモン72柱の序列1番です。
シリアにバールの神殿があります。60から70の悪魔を従えているといわれています。猫やカエル、王冠をかぶった人間の3つの頭を持ち、肩から下は蜘蛛の姿で描かれます。
呼び寄せた人間の姿を透明にさせたり、あらゆる知識を与え、すべての欲を満たしてくれたりします。剣術の達人で戦いに強いといわれています。
⑤地獄の軍団を率いる王オロバス
ヨーロッパ全域のキリスト教、ユダヤ教の悪魔です。ソロモン72柱の序列55番です。地獄の20の軍団を率いている王だといわれています。
過去・現在・未来についてのあらゆる質問に答えてくれるだけでなく、威厳や好意を与えたり、偽物を見破ったりする力があるといわれています。大変誠実で、他の霊からの攻撃から守ってくれるともいわれています。
⑥地獄の猛獣に乗るアスタロト
ヨーロッパの伝承に伝わる悪魔です。ソロモン72柱の序列29番です。40の悪霊軍団のトップに立っています。ドラゴンに似た地獄の猛獣に乗り、右腕に毒蛇を巻き付けている姿であるといわれています。
口からは毒の息、悪臭を放つので、近寄るのは危険とされています。過去と未来を見通す力があります。常に安楽に過ごし、人を怠惰に導いてしまいます。
3.南ヨーロッパに伝わる有名な悪魔
南ヨーロッパは主にラテン語を母語とする民族が住んでいる地域で、イベリア半島・イタリア半島・バチカン半島地中海島々を含みます。ヨーロッパの中でも特に歴史の古い土地です。
悪夢をみせるインキュバス
南ヨーロッパのキリスト教の悪魔です。夢魔ともいわれます。眠っている女性に悪夢を見せたり、夢の中に現れて女性と交わったりするといわれています。
円錐形の帽子をかぶっていて、ふりすぎて落としてしまうことがあります。その帽子を拾うと隠された財産のありかを発見できるといわれています。
4.西ヨーロッパに伝わる有名な悪魔
フランス圏・ベネルクス・ドイス圏を含む西ヨーロッパは基本概念は民主主義国家と考えられています。そんな地域に伝わる悪魔を紹介しましょう。
小悪魔インプ
西ヨーロッパのイングランドの伝承に伝わる悪魔から分かれた小悪魔です。体調は10cm程度でコウモリのような翼に、鉤のある長い尻尾を持っているのが特徴です。
挿し木の意味があり、種から育ったわけでもないのに果物を実らせる力があります。意地悪な性格で人助けをする場合でも、裏では良からぬ事を企んでいます。
5.東・中央ヨーロッパに伝わる有名な悪魔
ヨーロッパの中央部に位置し、西ヨーロッパと東ヨーロッパに挟まれた歴史的・文化的世界。人口規模が大きくかつ社会資本も高いレベルで充実しています。そんな地域柄が出ている悪魔が有名です。
魂と引き換えに欲望を満たしてくれるメフィストフェレス
東・中央ヨーロッパのファウスト伝説の悪魔です。16世紀のドイツで登場しますが知能が高く、一風変わった悪魔です。
暴力的ではなく、賢く、よく自分の事を喋ります。錬金術師・降霊術師であるファウストが自分の魂と引き換えに、欲望を満たすために召喚したといわれています。そして契約に忠実に従うように見せつつ、言葉巧みにファウストを操作しファウストを悪徳へ導こうとします。
6.西アジアに伝わる3人の悪魔たち
アフガニスタン、イラン、イラク、トルコ、キプロス、シリア、レバノン、イスラエル、ヨルダン、サウジアラビア、クウェート、バーレーン、カタール、アラブ首長国連邦、オマーン、イエメン、パレスチナおよびエジプトの一部が西アジアに属します。
最高の神アフラ・マズダに敵対する大魔王アンラ・マンユ
西アジアの古代ペルシア・ゾロアスター教の悪魔です。最高の神アフラ・マズダに敵対する大魔王です。
この世が始まる前の戦いで善神に敗れ、深淵の暗闇に落とされてしまいましたが、少しずつ勢力を取り戻し、様々な悪をこの世にもたらすといわれています。決まった姿がないので、カエルやヘビなど魔性の生き物の姿になります。しかし人間に化けて国を崩壊させてしまうこともあります。
不義と偽りのドゥルジ
西アジアの古代ペルシア・ゾロアスター教の悪魔です。名前は虚偽を意味し、不義と偽りの神格化です。死の穢れを司る者といわれています。
洞穴からハエの姿になって飛んでくるといわれており、腐敗した死体を温床とし世界中に不浄をまき散らします。伝染病を介して、死を広めるのもドゥルジの使命だといわれています。
子供病気を司るラマシュトゥ(ラマツ)
西アジアのアッカド神話の悪魔です。産褥熱や子供の病気を司ります。獅子の頭とロバの長い牙、毛深いロバの体つきをしているといわれています。母乳で育児している人や出産した人をおどして、子供を誘拐したとされています。しかし悪い面だけでなく、豚と犬に母乳を与えたり、看病したりもします。
7.まとめ
世界中には有名なものから、知られていないものまで、たくさんの悪魔や、悪魔として伝えられている存在があります。今まで知らなかった悪魔もいたのではないでしょうか。地域や宗教によって言い伝えが変化していることがあるので、それを読み解くことも面白いかもしれません。