「妖怪」はたびたび日本人の心を虜にする魅力的な存在です。
起源をたどると平安時代末期にはすでに鬼や化け物、幻獣(げんじゅう)を描いた絵画は存在しています。
江戸時代には妖怪を1体ずつ紹介する図鑑形式の妖怪画が多く出されており、
- 妖怪絵師 鳥山石燕「画図百鬼夜行」のシリーズ
- 葛飾北斎(江戸後期の浮世絵師)「富獄三十六景」・「百物語」
- 昭和の妖怪ブームは 水木しげる「ゲゲゲの鬼太郎」
は多くの人が夢中になった人気のものですね。現代も妖怪の伝統的なものとして親しまれています。このページでは、妖怪の中でも『動物』に枠を設け3つのポイントに絞ってまとめました。
- 妖怪になった理由
- 語り継がれている地域
- 特徴
妖怪の軌跡をしることでその時代背景に理解を深めることができます。
狐火(きつねび)|縁起の良い妖怪
狐火(きつねび) 出没地:全国(場所によって呼び名も代わります。) 時代: 江戸時代 |
山形県の一部と秋田県では狐松明(きつねたいまつ)と言われ狐の嫁入りのために灯されている松明と言われており良いことが起こる前触れと言われています。
長野県ではある主従が城を建てる場所を探していると白い狐の狐火が灯して導いてくれたなど縁起がいいとされています。
が、 他の場所では道を迷わせたりする狐火もあると言われているので全国に出没していても真逆の扱いになっているようです。
狐火の特徴
狐火は狐の吐息からの火とも言われたり、狐の尾を打ち合わせて火を起こすとも言われていて狐によって火のつけ方は様々なようです。
猫又(ねこまた)|長生きしたねこの妖怪
猫又(ねこまた) 出没地:全国 時代:鎌倉時代後期 |
年を経た猫が妖怪になったもので(20年くらい?!)尾が2つに分かれているのが特徴で性格は基本凶暴。
古くから人を襲う妖怪として恐れられていたようで各地で言い伝えられている。富山県では「猫又山」長野県では「猫又池」群馬県では「猫又川」東京都では「猫又坂」など名前が残っているところも少なくないようです。
山で猫又遭遇すると食われると言われており、他にもネコを殺すと7代までたたられるなどと恐れられていたりと猫関係は怨念などが祟りやすいです。
猫又の特徴
化け猫と猫又の違いは尾が分かれているかどうかで見分けます。尾が分かれているのが猫又です。
文福茶釜(ぶんぶくちゃがま)|良い妖怪
文福茶釜(ぶんぶくちゃがま) [別名:茂林寺の釜(もりんじのかま)] 出没地:群馬県 時代:室町時代 |
群馬県の茂林寺の和尚が愛用していた茶釜で湯を沸かして飲むと開運出世・寿命長久など、八つの功徳を授かると言われそのお湯は尽きることがなかったそうです。
その茶釜は罠にかかった狸妖怪を助けた男のために変化し、和尚に売ることを勧めそうで恩返しだったのですが、本当のところ茶釜に化けたというより和尚に化けていたと言われています。
確かに狸が火あぶりにあったいたらばれちゃいますね。
土蜘蛛(つちぐも)|怨霊の妖怪
土蜘蛛(つちぐも) 出没地:京都府 時代:平安時代 |
武将源頼光が人を喰う大蜘蛛を京の都で退治したと言われています。 土中に棲むクモに似た巨大な妖怪で顔は鬼で虎のような胴体に長いクモの手足様相。
この妖怪の正体は天皇に恭順しない土豪の首長やその集団が朝廷に討たれて怨霊とも言われています。現代でも復活させないように5体バラバラにして封印しています。
葛の葉(くずのは)|伝説の狐妖怪
葛の葉(くずのは) 出没地:大阪府 時代:朱雀天皇時代 |
摂津国住吉に住む阿倍保名の妻が体調を崩し里に帰っていた時の出来事で信太明神に祈願していただいていると池に白狐が映っていたので後ろを振り返ると一匹の傷ついた鼠がいました。
阿部はいたわりしばらくして信太の山中に逃がしてあげたそうで、その後妻は回復し元気な男の子と授かれました。
百数日後家中が光妻は白狐神であり男の子は白狐との間の子であったがその後本当の妻との間には子供が授からず、その子を育て上げたそうです。傷ついた鼠は白狐で恩返しでした。
葛の葉きっかけで生まれた男の子は安倍晴明
男の子はあの有名な平安中期の陰陽(おんみょう)家の阿倍野清明(あべのせいめい)と言われています。だから妖怪退治もできるんですね。
まとめ
妖怪の定義は、理解できない不思議なこと、不可解なこと、自然現象などを具現化したものが妖怪と言えるのではないでしょうか。妖怪は江戸時代から気配をのこしているも古臭くならないのも特徴ですね。