狛犬・獅子・シーサーとはどことなく似ています。
主に神社仏閣の入り口に設定されていて右側が狛犬・左側が獅子であり一対で向き合う形や参拝者と正対する形で置かれています。 狛犬・獅子は、犬のように見えますが正しくは『想像上の霊獣』です。
この狛犬・獅子とよく似ているのが沖縄のシーサー。シーサーは沖縄の家の屋根に設置されお土産としてのグッズなんかにもなっていますよね。今回はこの3種類の霊獣の違いについて紐解いていきます。
1.狛犬・獅子とは
神社仏閣の門番として設置されている、霊獣は、実は一対は狛犬(こまいぬ)であり一対は獅子(しし)なんです。違いを見極める特徴をまずはまとめました。獅子 阿形(あぎょう)
狛犬 吽形(うんぎょう) | 獅子 阿形(あぎょう) |
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口を開け角のついていない獅子『阿形(あぎょう)』 口を閉じた角のある狛犬『吽形(うんぎょう)』です。
- 狛犬(こまいぬ)|日本の獣で語源は魔除けのために置かれたことで拒魔(こま)犬となった。
- 獅子(しし)|中国から伝わった現在は両方合わせて『狛犬』と認識されている
狛犬・獅子の役割
狛犬・獅子が一対になって神社仏閣に設置されている理由に『魔除け』の役割があります。神社仏閣の神聖な場所に邪気から守りそれより先に行かないように門番のような役目を果たしています。 狛犬は左右に置かれていますがその形は同じではありません。
本来は天皇を守るためのものだった
日本で最初の狛犬は神社ではなく天皇の王座を守るための守護獣でした。それが天皇と所縁のある神社へ設定されるようになり、ゆくゆくは一般の神社でも取り入れるようになったのが現在の姿です。
2.京都仏閣に狛犬が設置されない理由
京都市内の神社仏閣には狛犬がほとんど設置されていません。京都には狛犬以外に護王神社が根付いており、その姿は狛鼠・狛猪・狛鳶・狛猿・狛巳とさまざま。京都は
日本人なら心が揺さぶられる特別なエリア。不思議と心惹かれる人が多いのは本能的に日本の本来の姿を感じ取っているからかもしれませんね。
3.シーサーとは
沖縄のシーサーは想像上の動物獅子のことで、沖縄の言葉でで獅子の事をシーサーと呼ぶことでその名前が浸透しています。シーサーは 沖縄の『魔除け』『守り神』として定着、家に対を置いておくとで『福を呼び込む』と信じられてきました。
シーサーの対には性別で分かれていること
魔除け 雄(オス) | 守り神 雌(メス) |
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メスのシーサーは口が開いており、福を招き入れます。 オスのシーサーは口を閉じており、災難から守ってくれます。 玄関や屋根に置く場合は災いを遠ざけ、福を呼び込むように外に向けて置くことが定番です。
4.狛犬・獅子・シーサーの起源はインドのライオン像説
神社仏閣の狛犬・獅子、沖縄のシーサーの起源は実は同じで古代オリエントのライオンだという説がもっとも濃厚です。
古代オリエントとは、エジプト・メソポタミア・ペルシアのことでその時代東方遠征としてシルクロードを渡った記述がありその時ライオン像が中国にわたり、それが日本の狛犬・獅子・シーサの起源だとされているのです。
古代オリエントの3国では神・王の守護獣は百獣の王ライオンが流行していて、その一つがピラミッドのスフィンクス。日本の狛犬・獅子・シーサーとスフィンクスは同じライオン像の派生だと考えていいのではないでしょうか。
学校で学んだ歴史の印象以上に、かなり昔の時代から人類は自由に海を渡って大陸を行き来していたようですね。特に、中国の遣唐使が乗っていた船の技術はイギリスのコロンブスがアメリカ大陸を発見したずっと前の話で航海の知恵や船の性能はかなり優れていたように感じます。
シーサーが流行した時代はわかりませんでしたが、狛犬は平安時代ごろから存在しているので、その頃にインドのライオン像が中国に来ていたとなると歴史のロマンを感じます。
5.日本全国変わり種狛犬ベスト
全国には変わった狛犬が存在します。 作られた時代や材質、土地柄などでその姿は全く違ったもので、 逆立ちをした狛犬や細身のスッキリとしたボディーの狛犬やどっしりと筋肉質な体系の狛犬など様々な姿をした狛犬がいます。 全国で現在も残っている変わった姿の狛犬を集めてみました。
撫牛子八幡宮|青森構え獅子
(ないじょうしはちまんぐうのおあおもりがまえしし)
出典:撫牛子八幡宮
青森県では四つん這いの形をした狛犬が多く存在しています。 四つん這いのしっかりと立った姿は威厳がありますが、その顔は愛嬌のあるものがおおく青森の狛犬ファンも存在するそう。
南郷八幡神社|金沢逆さ獅子
(なんきょうはちまんじんじゃのかなざわさかさしし)
出典:南郷八幡神社
前足で立ち、後ろ足をあげている逆立ちをしたような姿勢の狛犬でとても珍しい。 通常、右が阿形・左が吽形が一般的ですが、この金沢逆さ獅子は阿形と吽形が逆に置かれています。 この狛犬のルーツは江戸末期時代の狛犬と言われていますが、現在ではこの逆さ獅子は作られていないようです。
重要文化財|肥前狛犬(ひぜんこまいぬ)
出典:佐賀市重要文化財
肥前とはかつて日本の地方行政区分だった令制国の一つで肥前国(ひぜんのくに)と言われていた土地のことです。
1600年前後から作られ始めた物だと言われています。現在はこのような形の狛犬は作られていないようです。一見見ただけでは狛犬に見えないものが多くありますが、現在ではとても珍しい狛犬です。
6.まとめ
狛犬・獅子・シーサー・ライオン像・スフィンクスとどことなく似ていて役割はほぼ同じですね。人間と動物は種族が違えども特別な信頼関係をむすでいることがわかります。ぜひ、狛犬を見た際は発祥ルーツについて思い出して見てください。狛犬を見ることでその神社の時代が見えてきたりします。 普段あまり気にかけることはありませんが、神社によって狛犬の表情はまったく異なっておりそれらを見るもの楽しみの一つになりそうです。