不老不死とは、年をとらずいつまでも若い姿で生きること。文明が発達していない時代にも人間は不老不死になることを追い求めていました。それは現代になってもそうかもしれません。
今回は、不老不死になるためにどのような方法があったのか、不老不死を現実することに勤めた人物を紹介します。
1.不老不死とは
不老不死とは、永久に若く死なないこと。物語のフィクションの中では使われる設定で、代表的なものは吸血鬼・ヴァンパイアの話があげられます。
吸血鬼(ヴァンパイア)とは
吸血鬼の存在は映画を元に広まった話で、生命の根源とも言われる血を吸うことで、蘇った死人または不死の存在のこと。血を吸うことで何千年も生き続けることができるが、弱点も多い。
- 十字架に弱い
- 日光に当たれない
- 心臓に杭を打たれると絶命してしまう
- 首を刎ねられると絶命してしまう
- 常に孤独
- 存在を知られると狩の標的になりやすい
作り話なら理解することはできますよね。ただ今回は、実際に不老不死になろうと実践した人物について調べてみました。
人間が不老不死になることは、人間ではなくなること。本当に可能なのでしょうか?
2.本当に不老不死になろうとした3人の人物
不老不死を現実のものにするために、行動し実践した人物像を紹介します。
神話:ギルガメシュ王
※ギルガメッシュ王は神話に出てくる登場人物です。多くの神話に登場します。
古代メソポタミアの英雄的な王ギルガメシュは不老不死になろうとした最も古い人物。
彼が不老不死を本気で考えるようになったのは親友の死を目の当たりにした時の、恐怖心からでした。
何かと英雄伝説が多い彼の屈強な印象からは意外なものですよね。
ギルガメッシュは多くの神話に登場し、友情・自然との戦い・不死の追及、この3つのテーマが元に構成されている神話です。今回は不死の追及についてまとめてみました。
強くて勇敢なギルガメッシュ王 wiki
親友の死で死ぬことが怖くなった話
ギルガメシュは、親友のエンキドゥの死に直面した時、それ以来、死に異様に怯えるようになりました。その怖さから逃れるために不死について考え、永遠の命を求めて旅に出るのです。
絵本にもなっているギルガメッシュ王
彼が不老不死になるために実践したことは3つあります。
①6日間の間、不眠でいられるかどうか試した
ギルガメシュは不老不死になるために6日間の間、不眠でいられるかどうか寝ずにいるために努力をしましたが、結局起きてはいられませんでした。
②若返りの植物を食べようとした。
海の底にある若返りの植物、シーブ・イッサヒル・アメルがある事を知ります。
早速海の底の若返りの植物を採取には成功したのですが泉で水浴びをしている時、その植物を蛇に食べられてしまいます。
③神殺しをして不老不死になろうとした
神殺しの説は信ぴょう性が低いのですが、ジブリ作品のもののけ姫の要素を含んでいる内容と言われています。ギルガメッシュの周りにはたくさんの神がいて、神は不老不死である。その神になろうとし、教えをこうが、ことごとく失敗。神殺しを考えたという説があるようでした。
この出来事をきっかけに諦めがついたのか、その後自分の限られた人生を大切に生きるという考えにたどり着き、本当の安らぎに満ちた人生を送りました。
実在した人物:中国の始皇帝
不老不死という考えは中国の始皇帝の話が有名です。
彼は実在した人物であり国を治める権力者。生まれながらにして位が高かったことで彼は『自分は特別な人間』と思うようになり不老不死になることを決めます。特権を使ってありとあらゆる手段を行なったのです。
中国には『仙人(せんにん)』という存在がいます。彼らは若くはないですが、不死身に近い存在、そこからヒントを得ようとしました。
彼が考えた不老不死への手段は2つあります。
①水銀と金を調合した薬を飲む外丹術
水銀と金は火の中でも失われず、土の中でも腐食しない事が不老不死を連想させました。ですが水銀も金も人体には毒であり、帰って死期を早める結果になり完全な失敗に終わったのです。
②人間の体内や気から若さを維持する内丹術
不老不死の元となるものを人間の体内や気から求めるという考え方になったものを「内丹術」と言います。 人間が本来持っている「気」を活性化し、心身を人間本来の状態に戻そうとする修行の方法です。
始皇帝は、水銀を飲んだことで49歳という若さで死んでしまいます。
ヨーロッパの貴族:サンジェルマン伯爵
18世紀ヨーロッパのサンジェルマン伯爵には不思議な話がある、当時67歳で社交界で活躍していた彼だが外見は40代ぐらいに見えたと言われているのです。
そして死んだかどうかが不明になったまま、「不死の人サン・ジェルマン伯」という書籍もあります。
ヨーロッパでは不老不死だったのでは?と言われる噂を検証してみました。
①見た目が若すぎる
彼の社交界デビューは60代とかなり遅かったが、見た目がとっても若々しかった、身なりも宝石をまといとても美しかったと言われています。
②普段は丸薬とパンと麦しか口にしない
食事を楽しむのが娯楽の貴族の間で彼の食は大変細く、限られたものしか口にしなかったのでかえって噂になっていました。
「自分は不老不死なので、霊薬を口にする他は食事は必要としない」と言って、実際に人前では全く食事をしなかったとも言われています。
③ありえない数の外国語を理解し話すことができた
ギリシア語・ラテン語・サンスクリット語・アラビア語・中国語・ドイツ語・イギリス語・英語・イタリア語・ポルトガル語・スペイン語の数か国語に堪能でした。
④不老不死の書籍を出した
錬金術にも詳しかった彼は不老不死の著作もしました。
⑤フリードリヒ2世に『死ぬことのできない人間』と呼ばれた
啓蒙専制君主の典型とも言われるフリードリヒ2世に「決して死ぬことがなく、すべてを知っている人物」と評価されている。
⑥ニコラ・シャンフォールが得た使用人の調書
フランスの作家・神秘思想家のニコラ・シャンフォールがサンジェルマン伯爵の不老不死の噂を知っていたのである日使用人に「あなたの主人は本当に2000歳なのですか」と冗談交じりで訪ねた。
「それはお教えすることができません。わたしはたった300年しかお仕えしていないのですから」と使用人が答えたと言う。
⑦自分の年齢を2000歳とも4000歳だと言っていた
自分の年齢は20000歳あるいは40000歳とも言ったことがあり、かつての歴史上の人物と面識があると話していた。
彼は大変器用な人物で学問に長けていて大変な知識を持っていたとされています。さらには錬金術を行なっていた化学実験室も所有しています。
錬金術とは
錬金術はかつて『トンデモ化学』とも表現され、はっきりとした起源は謎に包まれています。人は神にどこまで近づけるのか、そのためには何をすべきなのか。それを求めていく学問でした。
錬金術についてはこちらでわかりやすく解説しています。
学術研究所・科学医学・数学・哲学を用いられた錬金術では、永遠の命を得るとされる「エリクサー」の存在がありました。
錬金術で作るエリクサー
エリクサーについては詳しい事は分かっていませんが、服用すれば、どんな病気でも治す事が出来るとされ、さらに永遠の命を得る事も出来るとされていました。 その製造方法などは分かっていませんし、本当にそのような液体が存在したのかも分かっていません。
このエリクサーは伯爵が唯一口にしていた丸薬なのかもしれないですよね。
3.不老不死が魅力的な理由
現実的に人間の細胞が年をとることで老化します。昔より寿命は長くなったものの老化を食い止めることはできないのです。
不老不死の魅力は『美しさと若さ』でもあります。老人や子供の姿では何年も生きるには大変ですもんね。さらに容姿端麗であるということも重要な点です。
人間は見た目によって判断する生き物なので少しでも生きやすいよう見た目は一つの重要な要素なんですね。
4.不老不死を現代で考えた時の3つの手段
クローン
人間の寿命は変えずにクローンを作ることでその人物が何年も生き続けるという話です。クローンを作ることは事実上できると言われているので、可能ですが、倫理的な問題で実践されることはないでしょう。
半分AIのサイボーグ
生命体と自動制御系の技術を融合させた生命体のことで、具体例として、人工臓器などの人工物を身体に埋め込むなどです。不老不死とは程遠いですが延命の一つです。
細胞の若返り
細胞の老化で起こることを止めて若返りさせることで老いを防ぐ方法です。人間にリスクのない寿命のない細胞があれば年をとらないことになります。
5.まとめ
不老不死とは果たして希望なのでしょうか?ヨーロッパの伝説の男サンジェルマン伯爵のように立ち回りが上手ければいいですが本人の生きる力は相当必要な気がします。寿命が延びても人生は平等だと感じました。ただ、化学的には可能な未来がくるかもしれませんね。