滝行と聞くとどんなイメージを思い浮かべますか?実は今、普通の一般の方が、滝行を行う機会が増えているんです。
冷たいし、痛いのに自ら苦しいことを選ぶなんて不思議ですよね。
今回は、そんな隠れブームの滝行について、行う動機と基本的なルールを解説。
滝行は身近な存在になりつつあるとはいえ、命にかかわる注意事項も記載していますので、興味を持っている方でこちらにたどり着いた方は十分に確認してからにしてくださいね。
1.本来、滝行の意味
一般の方には、その非情で懲罰的なイメージから、単なる厳しい修行というイメージがありますよね。
滝行とは、滝に入って行う修行のことをいいます。冷たく激しい滝水の中にみずから入っていくことで、己と向き合い、強い精神力を養うために行われてきました。
なぜ滝で行う理由は、日本古来の水によって心身の穢(けが)れを清めるという考え方のもと、本格的な修行に入る前に行われてきたことが由来とされています。
- 滝行は穢れ(けがれ)を清める
- 豊作祈願
- 雨乞い
滝行は、神道や密教、修験道においては古くから行われており、本来は宗教的意義が強く、豊作祈願や雨乞いなどの宗教的儀式の側面もある、れっきとした修行法の一つなのです。
この3つは滝行が行われていた由来ではありますが、現代の人とはイマイチつながらないですよね。昨今滝行の求められているものは別のもののようです。次項でまとめていきます。
2.現代、冷たくて辛い滝行を自ら行う動機とは
滝行には雑念を取り除く意味を期待している方が近頃は多いようです。由来とある滝行は穢れ(けがれ)を清めるを基本と考えているようです。
- 日々のストレスを解消したい
- 精神力を鍛えたい
- 自分とじっくり向き合いたい
- 人生の節目に何かを成し遂げたい
- 非日常を体験したい
- 煩悩を取り払う
- 癒されたい
滝に打たれていると、その水流に耐えることに必死で、雑念が湧く余裕すらありません。
忙しい日々の生活の中では、そのような体験をすることはなかなか出来ませんから、修行が終わるときには不思議と癒しを感じる参加者が多いようです。
煩悩に支配された心身を、一瞬でも無の状態にすることで、わたしたちが得るものは偉大だということがわかりますね。
3.滝行の手順
滝行の基本的な流れは以下のとおりです。
- 用意された行衣に着替える
- 滝に礼をする
- お経や祝詞を唱える
- 滝に近づき、体に水をつける(水行)
- 滝つぼに入り、滝に打たれる
- 積極的に声を出し、気合を入れる
- 静かに精神を統一する
- 礼をして、滝から出る
- 体を暖める
とくに、体に水をつけるときや、滝つぼに入って間もなくは、非常につらいです。氷のような冷たさと、想像をはるかに超える衝撃が心身を襲います。
しかし、それに5分ほど耐えると、水が体に当たっている感覚だけがわかる、という境地に達するとされています。
4.滝行へ参加するときの持ち物
滝行を行うにあたって、主な持ち物は以下のとおりです。
- タオル3枚くらい
- 足ふきマット
- 着替え(一式) 白装束は貸してもらえますが、滝までの往復の服は自分で用意します。とくに帰りは寒いので、厚着がよいでしょう。
- 濡れてもいい靴 滝行中は裸足ですが、滝に向かうまでにも濡れる可能性が高いです。普段履く靴とは別の、滝行専用の靴を準備しましょう。
- (おもに女性の場合)白装束の中に着る水着など
白装束以外、必要と思うものは自分で持参です。あったかい飲み物を入れた水筒なんかもあると良いですよ。
5.滝行の注意事項
滝行は、様々な危険をともないますが、何が起こっても自己責任です。
上から水以外の物が落ちてきて怪我をしたり、超低温の水にさらされるという異常な状況に体調が急変してしまう人もいるでしょう。
できる限り、そのような非常事態を察知することができる経験者や指導者とともに行うようにしてください。
また、妊娠している方、心臓等に持病を抱えている方はもちろん、予約した日であっても体調がすぐれない場合は勇気をもってキャンセルをしましょう。
滝行は、時代とともにに身近な存在になりつつありますが、特殊な儀式であることには変わりありません。
6.滝行が体験できる場所6選
東京|九頭竜神社 九頭竜の滝・龍神の滝
料金|5,000円/1名分(3名から) ※ほかに賽銭代と昼食代も必要
住所|東京都西多摩郡檜原村数馬7076
東京都桧原村にある九頭竜神社の九頭竜の滝(くずりゅうのたき)・龍神の滝(りゅうじんのたき)は、奥多摩のパワースポットとして知られ、多くの芸能人やスポーツ選手も度々訪れています。
最近の滝行ブームに合わせて、女性やお年寄りでも気軽に体験できるよう、滝行時間を短くしたり、お経や祝詞も簡略化するなど工夫しています。
また、キリスト教の方はそれらに替えて、祈りや賛美歌の使用により滝行を体験することが可能です。
滝は、水量が多いのが特徴ですので、なめてかかると危険です。必ず、指導者指示にしたがいましょう。
東京|高尾山薬王院 蛇瀧・琵琶瀧
料金|入瀧料 1,000円
入瀧指導料 3,000円(入瀧料含む)住所|東京都八王子市高尾町2173
東京都八王子市高尾町にある高尾山薬王院では、蛇瀧(じゃたき)・琵琶瀧(びわたき)の二滝を水行道場として一般に開放しています。
ここでは、入瀧料を払えばご自分のみでも滝行が行えますが、よほどの経験者でない限りは入瀧指導料を支払って指導者に付き添ってもらうようにしましょう。
とくに初心者は入瀧指導が必須で、法楽および道場清掃を経ての入滝となるので、本格的な滝行体験をしたい方にぜひおすすめです。
東京|宿坊 静山荘 綾広の滝
料金|1泊2食講習料込 11,800円
住所|東京都青梅市御岳山43
東京都青梅市にある民宿「宿坊 静山荘」は、泊まりながら滝行・瞑想・呼吸法などを学び体験できる宿となっています。
滝行は、宿泊当日の午後と、翌日早朝の2回実施されます。どちらも宿から徒歩20分ほどの所にある綾広の滝(もしくは七代の滝)にて行います。
そのほか、断食や山駆けの体験、雅楽器の演奏なども楽しめるので、滝行だけでなく、宗教的なイベントを色々経験する旅をしたい方は、ぜひいかがですか。
神奈川|湘南滝行の会 夕日の滝
料金|初回 9,000円(DVD代込み)
2回目以降 6,000円(DVD希望制・別途1,500円)
衣装、杖、清酒代含む
※5名様以上~団体割引あり住所|神奈川県南足柄市矢倉沢2230
湘南滝行の会は、神奈川県南足柄市にある夕日の滝にて滝行体験を行っている団体です。ここでは、参加者の様子を撮影し、DVDにするというサービスを行っています。
そのため、カップルやご夫婦で参加され、DVDは結婚式のサプライズ映像として使用するという方も多いです。女性のインストラクターもいますので、女性の方でも安心して参加できます。
なお、初回はDVDが必ずついてきますが、2回目以降は選べるので、通常の滝行体験のみの参加も可能となっています。
また、滝行をした場所から、最寄りの入浴施設まで車で送ってもらえるので、寒いまま帰りたくないという方でも気軽に参加できます。
千葉|妙福寺 竜神滝
料金 1人2,000円(傷害保険料500円含む)
住所 千葉県銚子市妙見町1465
千葉県銚子市にある妙福寺では、境内の中にある竜神滝にて滝行を行っています。
妙福寺では、滝行を「洗心行」ととらえ、どれだけ長い時間滝にあたったのかではなく、どれだけ心が清められたのかという、非常に精神的で本格的な滝行体験ができます。
滝は、やや人工的で、その威力はほかの滝行スポットに比べるとやさしめですので、本物の滝を使用した滝行は怖い という方にはいいでしょう。
こちらは月に1日1回のみ、先着10名だけの受付となっていますので、お希望の方はお早めの予約をおすすめします。
栃木|出流山満願寺 大悲の滝
料金 指導料 10人未満 10,000円
10人以上 1,000円/人住所 栃木県栃木市出流町288
栃木県栃木市にある出流山満願寺(いづるさんまんがんじ)では、高さが約8メートルもある大悲の滝にて滝行体験を行っています。
滝を取り囲む岩場の上からは、不動明王などの3体の仏様が見守っており、非常に厳かな気持ちで滝行に取り組むことができます。
本堂の中では座禅体験(1,000円/人)も行っていますので、企業研修など大人数での滝行&座禅体験はいかがですか。
7.まとめ
いかがでしたか? 想像以上にバリエーションに富んだ滝行スポットが目白押しでしたね。いまや、滝行は、わたしたち日本人にとって最も身近な修行方法になりつつあるようです。
ただし、そのように気軽に行えるからこそ、注意事項はしっかり心得た上で、あくまでも健康な心身をさらに健康にする手段として、利用するようにしましょう。